プロジェクトマネジメントの話とか

「プロジェクト管理」をはじめ、心理学・ライフハック・仕事の話などを書いています。


デスマーチ・激務に巻き込まれたアナタが取るべき12の対策【メンバー編】

 新社会人になろうとしているあなたが、「デスマーチ」(=不眠不休の連日徹夜の炎上プロジェクトを想定します)という激務の壁にぶつかったときに、当記事が何らかの参考になれば幸いです。

 私は約10年間、下流工程寄りの仕事に従事した後、上流工程へシフトしました。プロジェクト炎上の火消しにPL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー・プロマネ)らが右往左往するものの、最終的なしわ寄せが「実装を担う開発現場」に来てしまう現実を、何度も目の当たりに、いや、実際に経験してきました。

 根本原因の解明が必要ではあるものの、一メンバーである個人の権限ではコントロールできない要素がほとんどだったりもするわけです。今回はメンバー側の視点として、デスマーチという激務のやり過ごし方、取るべき対処について考えてみましょう。もちろんIT業界以外の「絶賛激務進行中」なアナタもご一緒に!

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1.責任は「プロジェクトマネージャー」とその上にあり。ただし、自分なりに炎上した原因を分析・追及する

 プロジェクトが炎上した原因を自分なりに分析してみましょう。分析の方法は、あなたがどのポジションにいるかにも大きく依存しますが、コントロール可能な領域を見極めつつ「なぜなぜ分析」を繰り返し、根本原因を探ります。

 追求した結果、資金の関係で人的リソース・納期が圧倒的に不足し計画が破綻している、という身も蓋もないケースが多々あるわけですが、カイゼンの余地を探ります。
「PDCA」って言葉は正しいの?―全く回らない「PDC」とその対策。 - プロジェクトマネジメントの話とか

 そして、自分にアサインされたタスクを消化しながらも、PMがどのような手を打ち立て直していくのかを注視するのです。プロジェクトを構成する各要素を定量的に測定しているか?勝算もなく、むやみに人的リソースを追加していないか?

 方針が明らかに誤っている、時間ばかり経過するものの状況が全く改善されない場合は、周囲と協力してPMへ、話が通じないようであれば、その上へも進言する必要もあるでしょう。場合によっては、PMのクビを飛ばしにいく必要もあるわけです。プロジェクトを立て直し、自分の心身を守るためにも。

 自分はメンバーだが、全体を俯瞰して考える。この経験は、いつかあなたがプロマネになった時にも大きく役立ちます。


以降、メンバーが取るべき対応として、対処療法の観点から乗り切り方について考えていきます。 

2.溢れそうなタスクはPL、PMへ投げ続ける

 人間が一人でさばけるタスクの量には限界があります。稼動を2倍に上げたところで、IQが2倍になるわけではないですし、アウトプットが2倍になるわけでもないのです。このままいけばタスクは溢れることが判明したタイミングで、早急にアラートを上げましょう。

 一番最悪なのは期限間近での報告です。マネージャー側からすると、ギリギリに報告されてもリカバリが効かないためです。早めの報告が必要なのは、デスマーチ中に限った話ではありませんが、炎上中は今まで以上に報告のスピードが求められるのです。

 そして、「受けられないものは受けられない」という毅然とした態度が必要です。自分はまだ駆け出しだ。「信用が欲しい!実績が欲しい!」その気持ちはよくわかります。しかし「できます」と宣言して実現できなかった場合に失う信用の大きさを認識しておきましょう。一度失った信用は簡単には取り戻せません。ビジネスとはそういうものです。

 そもそも考えてもみてください。誰もあなたのキャパなど、あてにしていないのです。自意識過剰です。本当に優秀な人間は、わからないことをわからない、できないことをできない、と明確に伝えられる人間なのです。

※下記の過去記事では、タスクを他メンバーに振ることも想定していますが、デスマーチ中はチーム内がカオスになっているため、きっちりマネージャー経由でタスクを整理してもらうことがベストかもかもしれません。
仕事を抱え込んでしまう理由と8つの処方箋。 - プロジェクトマネジメントの話とか 

3.周囲との関係を常に俯瞰・意識して会話の量を増やす

 不思議なことに、どんなに稼動が跳ね上がったとしても、メンバー間の関係が良好な場合は、炎上プロジェクトであっても楽しく仕事を進められたりすることが往々にあります。深夜4時に馬鹿笑いしながらMTG。良くも悪くもお祭り状態です。

 逆に、毎日定時で上がれるようなプロジェクトであっても、人間関係が最悪の場合は心身の負担が大きくのしかかり、激しく疲弊することになります。短時間労働であるにも関わらず、この消耗の度合いは凄まじいものがあります。

 最終的に、仕事は「人」なのです。技術寄りの仕事であってもそれは変わりません。

 全メンバーが慢性的な睡眠不足に陥った場合、プロジェクト内の雰囲気が殺伐としてきます。他メンバーが犯した些細なミスに対しても、カリカリ反応してしまいがちです。デスマーチとはそのようなものです。

 せめて自分と自分の周囲だけは綺麗な空気でいたいものです。そのために会話を増やす。意識してバカな話をする。周囲は敵ではありません。戦友なのですから。 

4.「ブルックスの法則」を無視して投入された追加メンバーとの「コミュニケーションコスト」を十二分に見積もる

 ソフトウェア開発の古典『人月の神話』にて、ブルックス教授は「遅延したプロジェクトへの人員追加はNG。メンバー間における、コミュニケーションコストの増大などの弊害があるため」と説いています。ごもっともです。

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 しかし、実際の現場ではどうでしょうか?

 機能のシュリンク・スケジュールの引き直し。やれるものならやりたいものですが、お客様の了承はそう簡単に得られるものではありません。

 現実問題、単純な機能のコーディングや試験フェーズなど、力作業でこなせる作業を中心に、人員追加の人海戦術で乗り切っていくことも多いのが現状です。なぜなら「これはこれで有効に機能することもある」からです。(そうでないケースも多々ありますが……)

 そう。あなたのプロジェクトにも人員が追加されるのです。実装工程の開発現場であれば、初めてお目にかかる協力会社の人たちが突然やってくることも珍しくありません。彼らはスキルはあっても仕様を知りません。当該システムに過去、携わった経験のあるメンバーが呼び戻されることも多々ありますが、最新の仕様を知っているわけではないのです。

 つまり、あなたからメンバへの仕様説明という新タスクが追加されるのです。この負担をあらかじめ、スケジュールに積んでおく必要があります。また、この工数は新規メンバのスキル(仕様理解のスピード)にも大きく依存するわけです。はい。バッファも必要ですね。

 また、イチから信頼関係を構築する必要も出てくるわけです。この時間的コストを見積もる必要があります。

※信頼関係の重要性については下記記事を参考に。
「Win-Win」の大きな勘違い―Google社と7つの習慣【第4の習慣】から考える。 - プロジェクトマネジメントの話とか
なぜ人は相手の話を聴かないのか?―ゼロから学ぶ7つの習慣【第5の習慣】 - プロジェクトマネジメントの話とか
口下手なプログラマと体育会系SEの処世術―7つの習慣【第6の習慣】から考える。 - プロジェクトマネジメントの話とか

■カギは持続可能性(サスティナブル・sustainable

 瞬発力にモノを言わせ一時的にパフォーマンスを発揮しても、継続しなければ結果を出すことができないのは元より、デスマーチ中であれば生き残ることすらできません。一番のカギは「バテずに継続して走り続けることができるか?」この一点に尽きます。

 以下、続けて生活習慣の面からも考えていきましょう。 

5.就寝前に入浴する

 帰宅してバタンキュー。朝はシャワーで済ませて家を飛び出す、というサイクルは非常に非効率的です。乳酸の除去、および体温の上昇→下降を目的に、可能な限り湯船に浸かりましょう。就寝前に入浴することで「睡眠の深さ」に歴然とした差が生まれるためです。睡眠の量が確保できなければ、質を高めて対抗するのです。 

6.一日一回は瞑想をする

 なぜ人は体のメンテナンスには気をつかうのに、脳のメンテナンスは放置するのでしょうか?瞑想の目的、効果については、以下の過去記事を参照ください。睡眠時間が取れないのなら、瞑想で脳のダメージをカバーしましょう。日頃から習慣化しておきたいところですが、デスマーチ中は特に気を使いたいところです。継続することで、イライラ・心身の消耗度合いが改善されます。

7.休日に散歩をする

 「運動しろ!」と本当は言いたいところですが、疲弊しきっている状態では、なかなか体が言うことを聞いてくれません。

 ベストはジョギングや自分の好きなスポーツなどで有酸素運動を行うことですが、それが現実的でない場合には、せめて散歩だけでもしたいところです。これだけでも有酸素運動としての効果はあります。睡眠不足→心身の不調→運動不足→心身の不調→運動不足……という悪循環を断ち切るのです。 

8.週に一日は長時間の睡眠をとる

 週に一度の長時間睡眠で、体はある程度回復します。睡眠の借金の負債を返済するのです。可能であれば土曜にこれを実施して日曜は普通に起床したいところです。土曜、日曜と続けて生活サイクルを崩すとみなさんご存知の通り、月曜に悲劇が訪れるのでご注意を。 

9.食事(特に炭水化物)の摂取量を減らす

 食べれば当然眠くなります。人間は、食物を消化するのに多大なエネルギーを消費します。特にデスマーチ中は省エネモードで動きたいものです。特に、炭水化物を採り過ぎて良いことは何一つありません。完全に断つのも問題ですが。 

10.隙を見つけてトイレなどで短時間仮眠する

 仕事の合間に携帯アラームを利用し、10分程度仮眠をとります。遠慮はいりません。仕事を効率化するために必要な作業です。机で寝るも何なので、迷惑がかからない範囲でトイレなどで寝ましょう。昼食後などのスキマ時間も同様に有効利用しましょう。 

11.口角を上げて脳を騙す

 表情や空気は伝染します。アナタの暗い表情は他メンバーへ伝染します。他メンバーの暗い表情もアナタへ伝染します。なのでアナタがその負の連鎖を断ち切りましょう。とはいえ、心身が疲弊している中「常に笑顔でいろ!」などと言うつもりは毛頭ありません。

 試しに口角だけ上げてみましょう。目は死んでいても結構です。

 口角を上げると体(=脳)が騙されて「ん?何か楽しいことがあるな?アハハッ!」と少し元気になります。一説によるとセロトニンの分泌量が増えるとか増えないとか。あ、別にアヒル口にしなくていいから。気持ち悪いから。 

12.最後に。バーンアウトする前に休め!どうしても無理ならその場所から逃げろ!

 炎上プロジェクトに巻き込まれ、一人で抱え込み、オーバーワークで壊れてしまう人が少なからず存在します。特にIT業界ではその傾向が顕著です。これはPM・PLに責任があるのですが、メンバとしても、自分が壊れる前にアラートを上げ、周知する責任があるわけです。

 評価が下がる?信用が失われる?自分がやらずに誰がやる?その気持ちは理解できます。しかし、ある日突然アナタが潰れてしまい、大きな穴が空いてしまった場合の方が、遥かに損失が大きいのではないのでしょうか?

 幸いにも、私は潰れたことはありませんが、多くのメンバが潰れていくのを目の当たりにしてきました。ある日突然、メンバーが会社に来なくなる。彼らはアラートを上げられませんでした。その気持ちがわかるからこそ言いたいのです。自分の限界が見えてきたら、上のマネージャーでなくてもよいので周囲メンバーへ相談してほしい。必ずタスクを巻き取ってもらえます。

 社会人には、仕事に対して真摯に向き合う義務がありますが、あなたが壊れてしまっては元も子もない、ということだけは肝に銘じておいてください。あなたが壊れることは、あなたにとっても会社にとっても莫大な損失以外の何ものでもないのですから。

 あなたにはプロジェクトを離脱する権利があります。会社に命を捧げる義務はどこにもありません。会社はアナタの人生を生涯保障してくれるわけではないのです。

 そして新社会人になる方々へ――。

 仕事は楽しいものです。楽しい分、厳しいものでもあります。本気で命がけで取り組む一方、「いざとなったら逃げ道はいくらでもあるのだから、気楽にいこう!」という前向きな逃げ道を意識しておいてください。

 雇われ人であっても、本質はいつだって自由なのです。あなたは奴隷なんかではありません。

 逆説的ではありますが、「適度ないい加減さ」を意識することで、IT業界をはじめ、日本が少しでも明るくなることを願っています。

 社会の荒波へようこそ!

 さあ、面白おかしく仕事していこうか!

 

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デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか

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口下手なプログラマと体育会系SEの処世術―7つの習慣【第6の習慣】から考える。

タッグでシナジー効果を
photo by John Wiechecki

 体育会系SE「では、明日までによろしくお願いしますッ!!(スキルはあるけれど、いつも無口で何を考えているか全くわからん。この人とは合わんわ……)」

 職人系PG「はい…了解…です(彼は声ばかり大きくてガサツで大雑把。いつも勢いだけなんだよなー)」

 チームでよく見かける光景です。水と油のこの二人がこの先生き残るためには、どうしたらよいのでしょうか?結論から言います。協力し合えばいいのです。単純明快です。

 でも、それがなかなか実現できないから、みなさん苦しんでいるわけですね。

 自分と相手が協力し合えば1+1が「10」にも「100」にもなる「シナジー」(=相乗効果)という概念。個人的には7つの習慣の中でも最も*1難易度の高い概念だと考えています。

 難易度の高さに比例して「抽象度」も高くなっているため、頭で何となく理解して終わり、で済ますだけなら簡単なのですが、いざ実践しようとすると激ムズのハードモードとなります。

 今回は具体的にどのように行動したらシナジーの実現に近づけるのか、考えていきましょう。

※第6の習慣「シナジーを創り出す」は第1~5の習慣がベースとなるため、その関連記事も併せてお読みいただくと理解が早いかと思います。(リンク集は、当記事の最後尾に掲載)
特に「シナジーの概念・具体例」については「「Win-Win」の大きな勘違い―Google社と7つの習慣【第4の習慣】から考える。 - プロジェクトマネジメントの話とか」にて深く言及しているのでオススメです。

 今回も『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』をベースに進めていきます。

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人と人は分かり合えない?

 断言しましょう。人と人は分かり合えません。これは家族であろうが恋人であろうが親友であろうが同じです。

 身も蓋もない話かもしれませんが考えてもみてください。DNAは元より、生きてきた環境も異なれば、受けてきた刺激・情報も全く異なります。脳内の神経細胞の挙動も、一人ひとり全く異なるわけです。100人の人間が存在すれば、そこには100通りの価値観、考え方があって然るべきだということです。ごく当たり前の話をしていますが、これを日頃から意識できる人は残念ながらごく少数です。

 「から揚げにレモンをかける派」の気持ちは「かけない派」には理解できません。逆にあのカラッとした食感を大切にしよう!という気持ちも理解されません。(残念ですね……)

 普段、会議で議論を行っていても同様です。異なる価値観を持った者同士が集って、意見が衝突しないわけがありません。もしあなたの意見に賛同してくれる人がいたならば、むしろそれは本当にラッキーだ!という認識を持つべきなのです。人と意見が衝突して頭にキタ!などと感情的になるのは愚の骨頂です。

 みんな仲良し和気あいあい、満場一致で万事解決!そんな妄想からはいい加減卒業しましょう。そんなことが毎回可能なら、みなさん人間関係で悩んだりすることはありません。毎週日曜の夜にみなさんがサザエさん症候群になることもありません。世間の退職・転職理由の9割が「人間関係にある」という話を聞いたことがありますが、おそらく事実でしょう。今ブームになっているアドラー先生も、こう言っていました。

人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。
――アルフレッド・アドラー

シナジーを目指してどこまで両者は近づけるか?

 さて、上記前提を受け入れて、晴れてスタートラインに立つことができました。そこから歩み寄りの作業が始まります。自分とは全く異なった異次元の生命体に歩み寄るのです。怖いですねぇ、恐ろしいですねぇ。(古)

 自分が余裕をもって「Win-Win」を目指したとしても、余裕のない相手は常に「己のWin」のみを目指して突進してくるかもしれません。むしろそのケースが圧倒的に多いかもしれませんね。

 歩み寄るための相互理解のためには、コヴィー博士が繰り返し提唱する「信頼関係の構築」が最も重要となります。下記エピソードをご覧ください。

第二次世界大戦後、アメリカ合衆国は新設された原子力委員会の委員長にデビッド・リリエンソールを任命した。リリエンソールは各界の実力者を集めて委員会を組織した。どの委員もそれぞれの分野で強い影響力を持ち、自らの揺るぎない信念に基づいて行動する人物だった。
(中略)
リリエンソールは委員同士の信頼口座の構築に数週間を費やし、委員たちがお互いの興味、希望、目標、懸念、経歴、判断基準、パラダイムを知り合える機会を設けた。立場を超えた人間同士の交流を促し、絆を強めることに時間を使ったのである。(location 5816)

 リリエンソール氏は、はやる世界トップクラスのメンバーらをなだめ、信頼関係の構築に全力をあげるわけです。途中、厳しい批判にさらされることになりますが、価値観の理解に全精力を傾けることで、結果的に大きなシナジーを作り上げることに成功したのです。急がば回れ。この考え方が重要になります。

 この話、あなたの職場にも同じことが言えるのです。素性が良くわからない相手と一緒に深い仕事をする。しかも、どのような価値観を持っているのかを知らないまま。これほど非効率なことはありません。雑談をしましょう。ランチに行きましょう。飲み会があれば積極的に参加しましょう。同性同士なら下ネタで盛り上がりましょう。口下手であれば聞き役に回ればよいのです。

 特に、新しいメンバによる新プロジェクトが発足した際にキックオフ飲み会が催されることがよくありますが、この会を欠席するということは自殺行為に等しいと考えておいたほうが良いでしょう。よく知らないメンバを深く知る絶好のチャンスでもあるわけです。

 また、コヴィー博士は内面にもシナジーを発生させられる、と説きます。

直観的、創造的、視覚的な右脳、論理的、言語的な左脳、この両方を使いこなせれば、脳全体をフルに働かせることができる。つまり、自分の頭の中で心理的なシナジーを創り出せるのだ。(location 5956)

相互依存の人間関係においては、他者のパラダイムをコントロールすることはできないし、シナジーのプロセスそのものも自分ではコントロールできない。しかし、あなたの影響の輪の中には、シナジーを創り出すための多くの要素がある。あなたが自分の内面でシナジーを創り出すとき、その努力は影響の輪の中で完全になされる。自分自身の分析的な側面と創造的な側面の両方を意識して尊重し、その二つの側面の違いを生かせば、あなたの内面で、創造的なエネルギーが解き放たれるのだ
(location 6163)

 何だか難しい話になってきましたが、要約すると自分の中に存在する左脳的思考(分析的)と右脳的思考(創造的)の両面を意識して駆使することで、自分の中にシナジーが創り出されるので、その結果相手にも影響が与えられ、信頼関係ができるということになります。

 コヴィー博士は「自分の中のシナジー」を「右脳と左脳の連携」で表現していますが、もう一つの私の考えとしては「一度、相手の意見を理解し、相手の意見と自分の意見を自分の中で統合(=自分の中のシナジー)」し、それを相手に対して表現する、ということも言えると考えています。

 また、相手をコントロールすることは不可能ですし、突如発生するシナジーのプロセスをコントロールすることもできません。結果が出るまでにどの程度の時間的投資が必要かも見えないでしょう。ある意味「流れに身を任せる」覚悟と内面の安定が必要です。その基礎を作るための第1~5の習慣だというわけです。

自己開示のスパイラルへ

 そしてチャンスを見て、自分を開示することから始めましょう。殻に閉じ困らずに素の自分はこういう人間なのだ、と相手に伝えることで、相手はあなたに対して親近感を持つことになり、メッセージを受け取った相手も自己開示を始めることになります。自己開示の好循環の始まりです。少しずつ仕事に関係のないプライベートな話もしてみましょう。

 下記「図1」は、関係スタート直後の状態です。この時点では当たり障りのない話題ばかりで、プライベートの話はあまりありません。

二人の間に距離があり信頼関係がない状態

図1:ガードが固く距離がある状態

 次の「図2」は、片方が自己開示を行うことで相手が反応する良い循環を表します。「あなたが勇気をだして踏み出した一歩」により、状態は「図1」から「図2」へ徐々に移行します。

自分から開示することで好スパイラルへ

図2:自己開示することによる好循環

創造的な活動のほとんどは、予測のつかない出来事がつきものである。先が見えず、当たるのか外れるのかもわからず、試行錯誤の連続である。だから、こうした曖昧な状況に耐えることができる安定性、原則と内なる価値観による誠実性がなければ、創造的な活動に参加しても不安を感じるだけで、楽しくもないだろう。こういう人たちは、枠組み、確実性、予測を過度に求めるのだ。(location 5695)

 なかなかスムーズにいかない、という大前提を理解することが大事です。理解していれば、すぐに結果がでなくても心が折れることはありません。また、困難であるからこそ信頼関係が構築された場合の効果は絶大なものとなります。

「持たざる者」の知性

 聡明な人間は、自分の能力に限界があることを知っています。

自分と他者の違いに価値を置くことがシナジーの本質なのである。(location 5944)

 自分にない能力を持つ相手を尊重し、その相手を知ろうと努力し、知ってもらおうと努力することで信頼関係ができあがります。その上で二人の強みの掛け算が爆発したとき、10人分、20人分の仕事が実現可能となるのです。企業にしても一部の天才を除き、同じ人間は二人も必要ないのです。

当記事の冒頭で、対照的な二人を例に挙げました。この二人を仮に

  • 突出したスキルを持ちながらも、コミュニケーションに難があり仕様調整ができない「内向的な職人系プログラマー」
  • 細かい技術的な話はからっきし分からないが、持ち前の明るさとずば抜けた交渉力・要件策定能力で乗り切る「外交的な体育会 系システムエンジニア」

だとします。

職人系PG「土曜…秋葉原でフィギュア…」
体育会系SE「いや……結構です。ところで来週土曜にBBQがあるんだけれど、ご一緒にどうでしょうか?」

といった、全く噛み合わない会話も、いずれは

職人系PG「あ…その…仕様は…」

体育会系SE「よしわかった!お客様と調整するから、残りのモジュールを今日中に実装しておいてくれ!」

(お客様へ電話――)

体育会系SE「お世話になってますー!例の仕様変更の件ですが、やはり…ええ。そこを何とか!本当にあと2週間いただけるんですか!?ありがとうございます!! えっつ?あの店!?可愛いコ多いですよね!今度行きましょう!では!」

体育会系SE「うまいこと断っておいたからネ!」

職人系PG「これ…」

体育会系SE「ええッ!?もうできたのっ!?」

などという奇跡のシナジーを起こせるかどうかは全くもって定かではありませんが、信頼関係は短時間で構築できるものではないが、決して不可能ではない、という原理原則を理解した上で相互理解を継続することで、やがて道は開けていくでしょう。



人と人の「コミュニケーション」が仕事の成果の9割を決めます。これに業種・職種は関係ありません。


さあ、今夜も反りの合わない彼を交えて飲みに行こうか!

 

 

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*1:第8の習慣:「効果」から「偉大」へ、という意味不明なラスボスを除いて……

朝、楽に起きるためのたった1つの方法。

 勤怠がひたすら悪いIT業界の皆さま、激務に晒されているブラック企業にお勤めの皆さま、朝が苦手で起きられない皆さま、おはようごさいます。

 皆さんは日々、アラームの「スヌーズ機能」(一度アラームを止めた後に、5分後、10分後に再度鳴る、例のアレです。)を利用したり、複数台の目覚まし時計の鳴動時刻を数分ずらして設定するなど、様々な工夫を凝らされているかと思います。

 その方法で毎朝、スムーズに起きられていますか?

 今回は、間単に朝起きるための対策と、そのメカニズム、また、今皆さんが利用している「スヌーズ機能」や、複数台アラームによる「時間差攻撃」が、脳に及ぼす影響について考えてみましょう。

※あくまでもメカニズムの説明はイメージとなり、医学論文に基づいた話ではないため参考程度にご覧下さい。

 

なぜ、スヌーズ機能や時間ずらしの鳴動で起きられないのか?

 まず下記の「図1」のスヌーズ機能のパターンををご覧ください。図の読み方は「縦軸が時間の流れ」、「横軸があなたと目覚まし時計の関係」を表します。また、睡眠の深さを示すポイントを「睡魔ポイント」として定義しています。「0」がスッキリ覚醒で、「10」が一番眠い状態となります。

※シーケンス図チックに表現していますが、あくまでもざっくりしたイメージです。正しいシーケンス図を学びたい方はGoogle先生に聞くか、書籍にて調べてみましょう。

 まず、スヌーズ機能を利用したパターンを以下「図1」に示します。

スヌーズ機能を利用しても起きられない

図1:アラームのスヌーズ機能を利用したダメな起床パターン

  1. 目覚まし時計のアラームが鳴動します。寝ていたので睡魔ポイントは「10」
  2. 「目覚ましを止める」という行為により脳が少しだけ覚醒します。-5ポイントで「5」
  3. 目覚ましを止めます
  4. 暖かい布団に戻ります。至福のとき…

    せっかく一度起きたのに布団に潜ってしまったので、脳は再び浅い眠り(=ノンレム睡眠)に入る準備を行います。+5で睡魔ポイントは「10」

  5. 脳がウトウトし始めて休もうとした矢先、スヌーズ機能にて10分後に再度叩き起こされます。コレは厳しい!
  6. 再度止めようとする。ストップさせる動作で脳は再び少し覚醒。-5となり「5」ポイント
  7. ふたたび目覚ましをストップします
  8. 結局眠いままで、頭はぼーっとしています

    以下、これが延々と繰り返されます。

 次の「図2」は、目覚まし時計を2台利用した、時間差攻撃のパターンです。

鳴動時刻をずらすが起床できない

図2:時間差攻撃を利用したダメな起床パターン

 これも「図1」と理屈は同様ですね。再度休もうとする→叩き起こされる→再度休もうとする…のループです。こんなことをされたら脳はたまったものではありませんよね。

二度寝すると脳はどうなるのか?

 以前、スヌーズ機能が体に悪影響を与える、という話がネット上を駆け巡りました。信頼できる論文を確認したわけではありませんが、確かに二度寝した後は起床後も頭がなかなか回転しないことを考えると、経験的にも正しそうだと言えそうです。

 スヌーズ機能利用時に、二度寝した後の状態に酷似した現象が脳内で起こっていることは確かだと思われます。私はこのことを経験的に知っていたので、昔からスヌーズ機能を利用していません。

一度でスッキリと起きるには?

 やるべきことはたった1つです。

 朝、2つの目覚まし時計を「同時刻に鳴らす」だけ。対処法は、たったこれだけです。

 下記の成功パターン「図3」をご覧ください。

同時刻に鳴動させることでスッキリと起きられる

図3:2台の目覚まし時計を同時刻に鳴らし、一発で起きるベストな起床パターン

 1つ目のアラームをストップした直後に、次のアラームをストップさせる必要があります。アラーム1とアラーム2は物理的に距離を離した方がより良いとは思うのですが、隣に設置していてもなぜか目が覚めます。怖いほど効果抜群です。

 「アラームを止める」という手元の細かい作業自体が脳に負荷をかけ、覚醒を促すため、

  • 1つ目のアラームを「止める」→
  • 睡眠ポイントが5ポイント減少→
  • すかさず2つ目のアラームを「止める」→
  • 睡眠ポイントがさらに5ポイント減少し、完全覚醒へ

 という流れができあがります。

 待って!信じていないでしょう!?ぜったい実行しないでしょう!?

 騙されたと思って一度だけやってみてください。私はこの方法で起きるのがずいぶん楽になりました。一度体験すれば、その破壊力に驚かされるかと思います。

 朝、余裕を持って起きたからといって、必ずしも難関資格の勉強をしたり、皇居ランナーとして走る必要はないのです。必ずしも早朝から早起きする必要もありませんし、「朝活だ!」などと力む必要もないのです。

 ゆっくりと大好きなマンガを読んでもいいし、お気に入りのブログを巡回してもよいのです。さあ、忘れないうちにブックマークしておきましょう!


 「ちょっとした余裕」が、あなたの生活を楽しくしてくれるかもしれませんね。

 あなたも明日からゆったり朝を過ごしてみませんか?

 

 

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「Win-Win」の大きな勘違い―Google社と7つの習慣【第4の習慣】から考える。

 全ての社会人に必須とも言える「Win-Win」の考え方。

 「自分と相手の双方が利を得る形に収束させよう」というこの考え方だが、果たして両者が幸せになればそれで万事OKなのだろうか?

 答えはNOだ。

 今回は、当たり前のように利用されているこの言葉の意味を「企業の存在意義」と併せて考えてみよう。


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私的成功と公的成功の関係

 まずは第4の習慣「Win-Winについて考える」が、7つの習慣の中のどのような立ち位置にあるかを確認しておこう。

■私的成功(Private Victory)
第1~3の習慣が該当する。
他者に依存した状態から「自立」を獲得した状態へ。

■公的成功(Public Victory)
第4~6の習慣が該当する。
他者と協力し合い、相互依存の状態に至ることで相乗効果を発揮し、一人では成し遂げられなかったことを成し遂げる。私的成功なくして公的成功はありえない。

 これ、マズローの欲求5段階などというトンデモ理論とは訳が違うんだ。土台があって初めてその上が実現できるという意味では、「自立」から「相互依存」へというプロセスを考えると、論理的かつシンプルで、非常に説得力があるんだ。

相互依存よりはるかに成熟した状態であり、高度な概念である。…相互依存の段階に達した人は、他者と深く有意義な関係を築き、他の人々が持つ莫大な能力と可能性を生かすことができる。
(P.66―『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P.55)

私的成功を実現していなければ、公的成功にいたることはできないのだ。しかし、多くの人がその道のりを省略したがり、他人との関係を表面的なテクニックで片付けようとする。確かに、人間関係の問題は急性の痛みを感じることが多い。痛みが強烈なので、つい応急処置をしたくなる。だが、応急処置では、本当の人間関係を築くことはできない。
(P.68)

  自分がセオリー通りに努力・行動したとしても結果が伴う保証がないため、公的成功は非常に難易度の高い概念となっている。相手は気まぐれな、にんげんだもの。

 過去記事でも言及しているが、全ては「信用」の上に成り立つものであり、信用を獲得するまでには時間と激しい苦痛が伴う。理屈以前に相手との相性の問題もあるだろう。一朝一夕に構築されるものではないため、長期間に渡って時間・労力を投資する覚悟が必要だ。

「Win-Win」の基本概念のおさらい。交渉のテーブルで最も力を持つのは誰だ?

 過去記事みんなが嫌う「朝会」がプロジェクトマネジメントで大切な理由。 - プロジェクトマネジメントの話とか
にて、メンバはチームなどどうなっても良い、自己中心的な存在だと書いた。

 また、なぜ人は相手の話を聴かないのか?―ゼロから学ぶ7つの習慣【第5の習慣】 - プロジェクトマネジメントの話とか
にて、人はそもそも自己中心的だ、とも書いた。

 繰り返しになるが、「人は自分が一番可愛い」という大前提を理解しておこう。そのような要望の権化が交渉のテーブルについたとしたら、一体どうなるだろうか?

サーバチーム「この仕様はパフォーマンス重視でアプリ側で実装するのが筋でしょう?アプリさん、お願いしますよ~」

アプリチーム「いやいや、仕様変更に柔軟に対応できるようにサーバに寄せるべきですよ。是非ともサーバ担当の部署でお願いします!」

 日常的に見かける非常に醜い、情けない応酬である。みんな「オレがオレが」である。押し合いへし合いのカオス。上っ面のWin-Winの名の元、どうすれば自分の利益が最適化されるか、しか考えていないわけだ。

……という前提に立って、お互いが納得して幸せになれる案に着地させたいね、そのようにして長期的な関係を築きたいね、というのがWin-Winの思想だ。

 そして、そのような交渉のテーブルの場で一番力を持つのは、必ずしも「日頃の力関係の中で強い立場にいる者とは限らない」、ということを強く意識しておこう。

 本当に強いのはNo Deal(=取引をしない)のカードを堂々と切れる者なんだ。

 ケースバイケースではあるが、交渉に臨む前に「交渉から降りる準備」が整えられた時点で、「負け」は無くなる。たどり着く結果は「勝ち」か「自ら選択した引き分け」のどちらかのみとなるんだ。

 不毛な揺さぶりにも一切動じず、余裕を持って対等な立場で交渉のテーブルにつくことができる。「堂々と断れる」という自信が獲得できれば、一方的な圧力から解放されると共に、交渉中のパフォーマンスも劇的に向上することになる。

やっとここから本題!オフショアで幸せになるのは誰か?

 前置きが凄まじく長くなりましたが、ここからが本題です。お互いの努力が実り、「Win-Win」が実現できたとしよう。

発注元の日本企業「今期は何としてでもコストカットを実現させましょう。そうだ、オフショア(=海外に安く発注)でいこう!開発ベンダーは…中国!これで人件費は3割カット!」

(そして後日・・・)

発注元の日本企業「当PJの開発はぜひとも御社に依頼したいのです!」
中国の開発ベンダー「宜しくお願いします!シェイシェイ!」


 見事なWin-Winである。――であるかのように見える。

 ここでよく考えていただきたい。海外の開発ベンダーに依頼したはいいが、このタイミングで日本の開発ベンダーが仕事を受注する機会を失ったことを、認識されていただろうか?日本を元気に!ガンガン経済を回していこう!などと言いながらも、コストカットでオフショアなのである。

 もちろん、私はオフショア開発を否定しているわけではないし、今後のIT業界ではそれが常識になっていくと考えている。日本人プログラマは本当に優秀な、ごく一部のモンスターしか生き残れなくなる可能性も高いだろう。

 下記の「図1」をご覧いただきたい。

オフショアによる損失

図1:オフショアの負の側面

 ここで言いたいのは日本経済が部分的に損なわれているという「事実を認識しているか?」ということだ。認識した上で取引を行うのであれば問題ない。

 自分の意識が「自分(自社)と取引相手」にしか向いていない場合は問題だ。結局は自分(自社)のことしか考えていない、ということになるからである。

 その取引は、ユーザーのためになっているのか?日本のためには?世界のためには?常に意識する必要がある。

 この観点が非常に重要になるのだが、そうは言ってもみんな「オレがオレが」のにんげんだもの。「社会貢献」などというキーワードなど、ただの綺麗ごとにしか感じられないことだろう。「社会貢献」の重要性について、次項以降で考えてみよう。

身近な例としてGoogleAdSense(広告)を考える

 ここで、ある一つの企業を例に挙げてみよう。Google先生だ。みんなに馴染みのある「Google AdSense」を例に考えてみよう。

6. 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
Google は営利企業です。企業に検索テクノロジーを提供することと、Google のサイトやその他のウェブサイトに有料広告を掲載することで収益を得ています。世界中の数多くの広告主が AdWords で商品を宣伝し、数多くのサイト運営者が Google の AdSense プログラムでサイトのコンテンツに関連する広告を配信しています。広告主様だけでなく、すべてのユーザーの皆さんにご満足いただくため、Google では広告プログラムとその実践について次のような基本理念を掲げています。
Google について | Google

■登場人物

  • 広告主
  • Google社
  • ブロガー(サイト主)
  • ユーザー(サイト閲覧者)

 「三方良し」ではなく「四方良し」である。四方八方への影響を考慮し、行動に移しているわけだ。基本的なモデルは下記の「図2」のようになる。

グーグルアドセンスの基本

図2:Google AdSenseの基本モデル

しかしネット上の実態は、下記「図3」のようになるはずだ。

インターネット上での繋がりを俯瞰

図3:Google AdSenseのインターネット上での実態

 関係者が多ければ多いほどシナジー効果(=相乗効果)は増大し、世界に与えるインパクトも増幅される。結果的にリターンの規模も爆発することになるんだ。

 逆に言えば、「自分と相手の1:1のWin-Winだけ」では、自分の利益だけしか見えていない状態とほぼ同義だと考えてよいのだ。

 取引先の向こう側に存在するユーザー、日本、世界の利益が考えられて始めて、企業の価値は本当の意味で高まるのだ。

Google社が世界で最も危険な理由

 続けて社会貢献の観点でGoogle社の活動を見てみよう。ちょっと思いついた例を挙げてみる。

◆3.11の東日本大震災

 地震発生後から爆速で次々にサービスを立ち上げていった話は有名だ。

 また、震災・災害関連時の活動について特筆すべきは、Google社だけでなく、周囲の企業も積極的に協力してプロジェクトを推進している、という点(本来有償の商用データを積極的に開示するなど)だ。まさにシナジーの理想形である。

ttp://www.google.org/crisisresponse/kiroku311/:favicon:title:bookmark
【東日本大震災、そのとき技術者は】 Google「命令などはなく、全員ができることを一斉に始めた」 - INTERNET Watch Watch

Googleの72時間 東日本大震災と情報、インターネット

Googleの72時間 東日本大震災と情報、インターネット

 

◆2014/2/17の山梨県の大雪・豪雪

 メディアが被害状況をまともに報道できず、完全に孤立状態に陥っていた地域が存在する中、クライシスレスポンスにて通行実績情報を迅速に提供した。このニュースを聞いたときも震災時同様、私は強く感動した。

大雪被害の甲信地方、道路の通行状況を「Google災害情報マップ」で公開 - ITmedia NEWS

◆貧困、環境、野生動物保護、その他諸々

 さまざまな社会貢献活動に精力的にリソースを投入するGooogle先生。

GoogleのCSRコンテンツが超絶すぎるっ!世界を本気で変えにいく「Google Giving」 | CSRのその先へ

 もはや本業が何なのかすらわからない。これはもはや神の領域だ。

 Goolge社の基本理念は「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」である。

 断言しよう。これは半分嘘である。

 具体的には「Google の使命は…使えるようにすることにより、世界中の人々がより良い人生を送れるようにすることです。」が正だ。

 世界を本気で良くしようと必死に考え、それを爆速で行動に移し、継続的に結果に結び付けている。そこにはもう「Win-Win」などという姑息な概念は存在せず、あるのは「Win-Win-Win-Win-Win…」なのである。

 それが結果的に利益に還元されることを熟知しているので、一切の迷いもなく堂々と「人類への貢献」に対して存分にリソースを投入することができるんだ。

 ちなみに、「技術力が高い」ということは実は大した話ではない。このように本気で世界を変えよう、良くしようと考える企業がこのまま成長すれば、良くも悪くも地球を支配するほどの凄まじい影響力を持つことになるだろう。もうなってるケドね。

※私はGoogleがこのまま基本理念を変えずにどんどん世界を良い方向に変えていって欲しいと願っています。

プロジェクトは小さなWin-Winの集合体

 このブログが「プロジェクトマネジメント」のブログだということを忘れかけていましたが…最後にプロジェクト管理の場合について考えてみよう。

 まずチーム内部での関係は、各メンバ間、およびPL(プロジェクトリーダー)、PM(プロジェクトマネージャー)らが常にWin-Winとなることが目標となる。

 超口下手な天才プログラマーと体育会系のSEがタッグを組めば、

プログラマ「あ…え…その…仕様は…」

SE「よしわかった!お客様と調整してくるから残りを今日中に実装しておいてくれ!」

(お客様へ電話。)

SE「お世話になってますー!例の仕様変更の件ですが、やはり…ええ。そこを何とか!…ああ、あの店!?今度行きましょう!じゃあ!」

(・・・5分後)

SE「あ、うまいこと断っておいたからネ!」

プログラマ「これ…」SE「ええッ!?もうできたのっ!?」

というような漫画のような都合の良い展開になるかは全くもって不明だが、各メンバ同士の「強みの掛け算」をうまく機能させることでシナジー効果は増大し、プロジェクトは成功へ導かれるんだ。

 そこに必要なのは、月並みだがコヴィー博士が繰り返し訴える「信頼関係」というひと言に尽きるわけだ。何だかんだいって、結局は飲み会が有効だったりもするんだよね。

図4:プロジェクトにおけるWin-Winの網の目

図4:プロジェクトにおけるWin-Winの網の目

 各メンバ、PL、PM、各ステークホルダー、そしてユーザー。全ての関係がWin-Winの集合体であるべきというわけだ。現実は甘くない。が、そこが目指すべき目標であることには変わりはない。

 そしてGoogle社の活動論理と同様、外部への貢献度が大きければ大きいほど、その個人・組織は外部から必要とされるわけだ。


 さあ、外を向いてみよう――。

 まずは目の前の相手を。

 次にチームを。

 そして部署、会社、地域、日本、世界を。

 君が動けば周りも少しずつ動いていくのだから。

 

 

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

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まんがでわかる7つの習慣3 第3の習慣/第4の習慣/第5の習慣

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仕事が人生に占める割合は2割。そこに情熱を注ぐのは不毛なのか?

ワークライフバランス
photo by Trish

人生の大半の時間を仕事に費やすのだから、最重要視しましょう――。

これって本当に正しい考え方なのでしょうか?

仕事が人生に占める割合を、まずは「時間ベース」で試算してみましょう。

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高々、2~3割という事実

22歳から働き始めて、65歳で定年退職(43年間労働)、80歳まで生きると仮定します。

■人生全体の活動時間

  • 一日の睡眠時間:8時間
    幼少のころは長時間寝ますが、歳をとるにつれ減少していくので、ざっくり平均化
  • 一日の活動時間:16時間
    24時間 - 8時間(睡眠時間)= 16時間
  • 人生全体の活動総計時間:467,200時間・・・「※1」
    16時間/日 × 365日/年 × 80年 = 467,200時間
  • ちなみに22歳からの活動時間:338,720時間・・・「※2」
    16時間/日 × 365日/年 × 58年 = 338,720時間


■人生における労働時間

  • 一日の労働時間:10時間
    若い頃はバリバリ、歳とってからはスローに、ざっくり平均化
  • 一年あたりの休日:140日
    2日/週間(土・日) × 52週間/年 + 17日(祝日) + 10日(夏季休暇・年末年始) + 9日(有給) = 140日
  • 一年あたりの労働日数:225日
    365日 - 140日(休日)= 225日
  • 人生における労働総計時間:96,750時間
    10時間/日 × 225日/年 × 43年間 = 96,750時間・・・「※3」

■人生に占める労働時間の割合
 
 上記「※1」・「※2」および「※3」より、

  • 人生全体に占める労働時間の割合:21%
    生涯の労働時間 ÷ 人生全体の活動時間 = 96,750時間 ÷ 467,200時間 ≒ 21%
  • 22歳からの人生に占める労働時間の割合:29%
    生涯の労働時間 ÷ 22歳からの活動時間 = 96,750時間 ÷ 338,720時間 ≒ 29%

ということで、せいぜい2割~3割がいいところなのです。

もちろん、某飲食店のようなブラック企業や、外資系金融機関・戦略系コンサルに代表されるハードな企業であればこの限りではありませんが、高齢になってまで連日徹夜のデスマーチ(=IT業界で炎上プロジェクトを指します)に体が耐えられるほど人は強くありません。個人差はあるでしょうが、いったとしても5割には満たないでしょう。

つまるところ、あなたの人生の大半は仕事以外によって構成されているというわけです。

あなたはこの数字をどう捉えますか?

プライベートと仕事の比率が「8:2」とはいえ、この数値は自分である程度コントロールできるものです。また、異なった切り口で計算すれば別の見方も可能です。(それでも5割にも満たないかと思いますが。)という前提の元、8:2をベースとして話を進めます。

で、時間比率は8:2かもしれないけれど、個人的には人生は一度きりなので仕事もプライベートも楽しんだほうが得だと思うわけです。その重要度に優劣の差はないと考えます。なので、2割であっても仕事で手を抜くことはあり得ないし、8割のプライベートの時間の一部を、仕事の勉強に充てることもあるでしょう。

逆にデスマーチに巻き込まれ、一時的に「1:9」になった場合は心身のメンテをしっかりと行い、ワークライフバランスを維持した生活を心がけるべきだし、そしてそのようなときこそ、人生の最期を想像して「今」、誰と過ごすべきか?誰と笑うべきか?を考えるのです。

【過去記事をご参考に】
人生の終わりから考える。ゼロからやさしく学ぶ7つの習慣【第1・第2の習慣】 - プロジェクトマネジメントの話とか
なぜ人は英語の勉強や運動をサボるのか?―7つの習慣【第3の習慣】から考える。 - プロジェクトマネジメントの話とか

また、今以上にプライベートを大切にしないと最期に後悔することが目に見えている場合も多いでしょう。そのような場合は効率化を行い、自分の時間・家族との時間を大切にするカイゼンが必要なのです。

業務に支障のない範囲で、ガンガン有給を消化しましょう。なぜ遠慮するのでしょうか。アナタの一度きりの人生です。周りの目が気になる?上司の印象が悪くなる?それらはあの世まで持ち越せる、特典ポイントか何かでしょうか?

仕事で手を抜け、と言っているわけではありません。仕事は本気で取り組むのが大前提です。だからといって、仕事が自分の人生をないがしろにしていい理由にはならないはずです。人生の満足度を会社が保証してくれるのでしょうか?

また、休むことで心と体は活力が回復し、パフォーマンスも劇的に向上します。休むのも仕事のうち。仕事が大事だからこそ、仕事のためにも休むのです。
凡人のあなたが爆速で仕事をこなすための6つのポイント。 - プロジェクトマネジメントの話とか

全ての選択権は自分にある

このまま話を終わらせるのもツマラナイので様々な生きざまを想像してみました。

プライベートと仕事の比率が…

■8:2?いや、自分は1:9なんだけど。

バリバリの仕事人間のアナタ。特に経営者はデフォルトがこれですね。このタイプはむしろ仕事とプライベートの境界線がなかったりします。仕事=遊び。

人生を最期から考えて、孤独な成功者にならないよう気をつけましょう。社会貢献こそ仕事する理由の一つ。ぜひ頑張って世の中を良くしていただきたい。(上から目線)

■8:2?だったらオレはプライベート最優先だ!

仕事は「生きるための金を稼ぐ手段」と割り切るのもアリでしょう。毎日定時退社。アフターファイブにはスポーツクラブへ直行し、心身ともに健康。有給もフルで消化で趣味は旅行です。テレビドラマは毎日リアルタイムで視聴可能です。蹴りたい。

■8:2?うーん…自分は9:1がいいんだけど。

不労所得を得て、悠々自適の生活を送る?って、宝くじに当たるか親が資産家か玉の輿に乗るか?現実的ではないですね。

では一生遊んで暮らせる金を先に稼いでリタイアするのはどうでしょう。そもそもそれだけ稼げる人は仕事が好きな場合が多いので、じっとしていられないのではないでしょうか。


あなたはどの人生を選択しますか?


誰と共に過ごし、笑っていたいですか?


今日はここまで。そんじゃーね!

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