プロジェクトマネジメントの話とか

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人のため?自分のため?社会貢献の誤解と7つの習慣【第7の習慣】


 「世のため、人のために!」
 「人さまの役に立つ仕事をしましょう!」

 小学校の道徳の授業に出てきそうな、この歯の浮くようなセリフ。

 「ホントかよ?世間さまの前に、自分の食い扶持をシッカリ確保することが先決じゃないの?」
 「自分が楽しくなかったら意味ないでしょ!」

 などといった考え方が出てくるのは至極真っ当な話ですし、むしろその方がよっぽど健全な思考だと僕は思います。

 その前提の上で僕は、人のために力を行使し社会貢献することは、この上なく楽しいことだと断言します。

 詳細は後述しますが、初めて僕が世間一般の人々が利用するシステム(BtoC)の開発に携わったときに、「オレのやってることが、世の役に立っているじゃん!」「仕事って面白れー!」を肌で体感しました。
 そのとき僕は、西野カナも驚くほどに嬉しくて楽しくて震えながら仕事をしていたのです。

 ……ここだけ読むと、ただの変態ですが僕は元気です。

 僕の小さな経験値、心理学・社会学をはじめとする学術的な見解や、故コヴィー博士による何万人にのぼる検証結果を、あなたに一方的に押しつけるつもりは毛頭ありません。

 あなたにとっては、あなたの価値観だけが常に「正」だからです。

 でもーー。

 もし、人のために力を使おうとすることで、あなたの中に眠る力を引き出すことができるとしたら?
 その結果、自分も人もハッピーになれたとしたら?

 やはりそれが可能であれば、それほど楽しいことはないと思いませんか?

 今回の記事が、あなたの仕事観を形成する上で何らかのヒントにになり得たとしたら幸いです。

以下の過去記事
「Win-Win」の大きな勘違い―Google社と7つの習慣【第4の習慣】から考える。 - プロジェクトマネジメントの話とか
では、大きな視点で経営・ビジネスの観点から社会貢献の意味について考えてみましたが、今回は身近な視点で「個人と社会貢献」について、7つの習慣の「第7の習慣」と併せて考えてみたいと思います。

 

第7の習慣「刃を研ぐ」ことの意味と概要

 社会貢献の話の前に、第7の習慣について概要を簡単に確認しておきましょう。
 ※社会貢献のお話は次節へスキップ!

森の中で、必死で木を切り倒そうとしている人に出会ったとしよう。
「何をしているんです?」とあなたは聞く。
すると男は投げやりに答える。
「見ればわかるだろう。この木を切っているんだ」
「疲れているみたいですね。いつからやっているんですか?」
あなたは大声で尋ねる。
「もう五時間だ。くたくただよ。大変な仕事だ」
「それなら、少し休んで、ノコギリの刃を研いだらどうです? そうすれば、もっとはかどりますよ」とあなたは助言する。
すると男ははき出すように言う。
「切るのに忙しくて、刃を研ぐ時間なんかあるもんか!」
(location 6195)

 このエピソードが示すように、目の前の作業だけに囚われることなく、未来の自分に投資する習慣を身につけよう!という考えが第7の習慣のベースとなります。
 以下のマトリクスを復習しましょう。

表1:7つの習慣お約束のマトリクス

 緊急緊急でない
重要

第1領域
緊急で重要なこと

第2領域
緊急ではないが重要なこと

重要でない

第3領域
緊急だが重要ではないこと

第4領域
緊急でも重要でもないこと

 人生を最期から逆算・イメージし、上記のの「第2領域」の仕事にどれだけ時間を割けるかによって、自身の5年後、10年後、20年後が大きく変わっていくことになります。

 また、第7の習慣の概要は主に、以下の4点から構成されます。

  • 肉体的側面
  • 知的側面
  • 精神的側面
  • 社会・情緒的側面

 「肉体的側面」については、運動習慣を身につけることの効果と重要性、「知的側面」では、幅広い教養を身につけることの重要性が説かれています。
 ……と、ありがちな話をここで展開しても仕方がないので、今回は、社会貢献という言葉のイメージから受ける「大きな誤解」、そしてその「本当の意味」や「重要性」についてフォオーカスしたいと思います。

 

社会貢献を第7の習慣「刃を研ぐ」から考える

 「精神的側面」の項目では、故コヴィー博士は下記のように説きます。

自分が人のためになっていると思える限り、仕事はうまくいく。自分のことしか考えずにやっていると、うまくいかなくなる。これは万有引力と同じくらいに確かな法則なのだ(location 6341)

また、「社会・情緒的側面」の項目でも以下のように説明しています。

人に奉仕し、人の役に立つことも心の安定をもたらす。その意味からすれば、あなたの仕事も心の安定を与える源になる(location 6463)

ストレスの研究で名高い故ハンス・エリセ博士は、健康で幸せに長生きする鍵は、世の中に貢献し、人のためになり、自分の気持ちも高揚する有意義な活動に身を捧げ、人の生活に喜びをもたらすことだと述べている。(location 6470)

このように、故コヴィー博士は一貫して「人のために、世の中に貢献せよ!」と述べています。
 故コヴィー博士の『7つの習慣』は世界で最も売れたビジネス書であることも併せて考えると、信憑性の高い言説だと考えて問題ないでしょう。

 とはいえ、話をそのまま鵜呑みにし思考停止状態に陥るのは大問題なので、その妥当性について考えていきましょう。

 まずは、次節にて社会貢献という響きから受ける、誤ったイメージについて考えていきます。

 やっとここからが本題。いつものオレオレ理論の展開です!

 

社会貢献の誤解と本当の意味

 先に結論から書きます。

 誤解を恐れずに言えば、社会貢献は人のためではなく自分のために行うものなのです。

 冒頭でも述べましたが、綺麗事を並べ退屈な話をしても誰も得をしないのでダイレクトに書きますが、人間は自分が一番可愛く、常に「オレがオレが、私が私が」なのです。

 当然ですよね?自分の人生の主役は自分で、自分は特別な存在なのです。

 つまり、「人のため」「社会貢献」というものの、結局は自分が気持ちよいからやっているのであり、その結果、人の役に立っているに過ぎないのです。

 ……って、少し言い過ぎましたが、だいたい合ってる、うん。

 もう少し噛み砕き、踏み込んで説明します。

 人の役に立つことと、自分が気持ちよくなることは表裏一体の関係なのです。

 鶏が先か卵が先かという問題はあるとは思います。ただ、「自分はどうなってもいいから貢献するぞー」というよりは、「(人の役に立つので)自分が気持ちいい!それでもって人の役にも立つ!ウェーイwww」と考えた方がよっぽど健全な気がしませんか?
 ウェーイwwwは全く関係ありませんでした。

 つまり厳密に表現するならば、「人のため」と「自分のため」は同時に存在する概念だということです。

 そして、自分が気持ちよくなることで、人間は様々なメリットを享受することになります。
 ここに自分の力を引き出すカギが存在します。

 次節ではこの現象ついて、様々な例を元に考えていきましょう。

 

社会貢献することの効果と威力

 ここで僕の経験談を少し。

 冒頭にて、僕が世間の人たちが利用するシステム開発に初めて関わった際、やたらと楽しかった、と述べましたが、仕事の内容自体は非常に単調で苦痛なデバッグ作業(=人が作った誤ったプログラムの修正作業)だったのでした。

 にも関わらず、そのシステムの利用者は、はてなブックマークのような「自分を含めた世の中の多くの人たち」だったため、プログラムを修正する過程でも、世の中の利用者を具体的にイメージすることができ「自分は役に立っている!」という強い実感を得ることができたのです。

 僕がそのときに感じたのは「自分が、開けた世の中と直接繋がっている」という感覚でした。*1

 そして特筆すべきは、それまでの自分に比べ、明らかにパフォーマンスが向上していたということです。
 何よりも「役に立って楽しい!面白い!」という感覚が先行していたからなんですよね。

 理屈抜きで「楽しい!」「面白れー!」と感じたとき、人の能力は開放されます。

 ごく当たり前の話をしていますが、抑圧され閉塞した環境にいると人は、この点を忘れる傾向にあるのです。

◆元ヤンキースの松井秀喜が考える「チームのため=自分のため」

 昔、何かのテレビで彼は試合に対する考え方を語っていたのですが、
「自分の打率や本塁打のことよりも『チームの優勝を願うこと』が、結果的に自分のパフォーマンスを最大限に引き出すのに一番効果があることを、僕は経験的に理解している」
と話していました。

 権威主義に陥り盲信するのはナンセンスですが、コレを聞いて腑に落ちた僕は、ああ、やっぱりそうか!と自分の考えに確信を持ったのでした。

 決して綺麗事などではなく、「自分のため」と「人のため」が同時に存在する、という意味では全くブレてはいなかったわけです。

貢献することで自分に返る
図1:殻に閉じこもらずに貢献することで刺激を得られ、結果的に力が発揮される

 人のため、世の中のために自分の力を使うと、人間は元気になって想像以上の力が出てくるわけです。

 

もっと楽に、面白く。力を引き出すための施策を考えよう!

 次に、みんながハッピーになれるような具体的な方法がないか、探っていきましょう。

 就職・転職を検討している人は、仕事を選ぶ際に社会貢献度を一つの要素として選ぶのも一つの方法かと思います。実際に仕事を経験してみないとわかりませんが、上手くいけばアナタの力を大きく押し上げてくれるでしょう。

 ちなみに、僕が過去に転職した際には「BtoCの案件に深く関われること」を一つの条件に挙げました。結果、日々楽しく仕事ができています。言うまでもありませんが、これは個人の価値観の問題なので、自分が楽しいと感じることを最優先させることが肝要だと思います。

 ――とはいえ。

 今の仕事で貢献している実感を得られないからと言って気軽に転職を繰り返すわけにもいませんよね。
 今の仕事の中に「人のため、世間のために貢献できる」と感じられるポイントを能動的に探していく必要があるわけです。

 

身の回りに潜む「貢献ポイント」を浮き彫りにする2つのステップ

 必要なのは、人のためになっている!社会貢献できている!という実感です。その実感を得るために、フィードバック(=人からの反応)を受けるのも効果的です。

 これを確認するには、2つの作業が必要になります。

1.自分と外部の「接続パス」の洗い出し

 まず、自分がどのような形で「人」とつながっているかを再度確認してみましょう。

 家族、恋人、友人、知人、顧客、利用ユーザ、同僚、部下、上司……etc.

身の周りのつながりを洗い出す図2:人とのつながり(力の流れのパス)を再チェックする

 自分を取り巻く周囲の人達との関係を確認することで、自分が持つ力がどのように外へ流れ、また、外からどう力を受けるのか。そのパス(=通路・経路)を確認します。

2.「外部への接続パス」に関わる仕事は何?

 次に、洗いだしたパスに、仕事がどう関わってくるのかを確認します。

 わかりやすい例は、僕が先ほど挙げた「Webサービスの提供」がありますね。

 利用者数があれば、TwitterなどのSNS、2ch、その他ネット上の口コミ評価などから利用者の声をダイレクトに確認できますし、その確認の過程で大きくモチベーションが上がる(逆に下がる!?)こともあるでしょう。

ユーザからのフィードバックを確認する
図3:自分とユーザとの関係から、フィードバックを考える

 とはいえ、このように容易にフィードバックを受けられる例ばかりではないと思います。

◆身近な人との繋がりが重要

 「顧客・ユーザの顔・声がなかなか届かくて実感が沸かない……」
 このような場合は、もう少し身近なポイントを考えてみる方法もあるかと思います。

 例えば……
 「この部分をサポートしたら仲の良い同僚が喜んでくれるかも!」や、「ここで踏ん張って昇格すれば、もう少し親を楽させられるかも!」など、考え方はいくらでもあるわけですよね。

 むしろこのように、身近な人に力を尽くそうとする姿勢の方が、より大きな喜び・効果が得られるかもしれませんよね!

 

さいごに。今回の話は全部忘れて!

 ……とまあ、長々と講釈を垂れてきたわけですが、今回お話した内容は全部忘れてしまってください!


 今が苦しい時は、人は自分のこと以外何も考えられないかもしれません。それでもいいと思います。休みながら、少しずつゆっくり歩けばいいと思います。
 やがて、少しだけ力が出てきたら。そのときに考えてみてください。


 目を閉じ、こんなことを想像してみてください。
 
 大切な恋人・家族・友人に、あなたはとっておきのサプライズのプレゼントを渡しました。

 プレゼントを受け取った相手が、思いっきりしわくちゃの顔で「うれしい!」と、この上ない満面の笑みで応えてくれたら――

 あなたはどう感じますか?

 そこには打算など、一切なくて。

  多分、結局は理屈抜きで、そういうことなんだと思うんです。

 あの人の。世の中の。笑顔のために。
 そして同時に自分のために。

 少しだけ、意識を外へつなげてみませんか?

 

 

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

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人を動かす 新装版

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ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則

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*1:もちろん、BtoBのシステム開発がつまらない、などと言うつもりは毛頭ありません。むしろBtoBの方が顧客の顔が直接見えるメリットもありますし、BtoBでも楽しいシステムもたくさんありました。たまたま、そのタイミングで僕がそう感じた、というエピソードです。


photo by Philip Chapman-Bell

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