プロジェクトマネジメントの話とか

「プロジェクト管理」をはじめ、心理学・ライフハック・仕事の話などを書いています。


なぜ話が通じないのか?とイライラしたら対処すべき2つのこと。


 普段、生活している中で意思疎通がうまく図れず、つい「イライラ」「カチン」と、頭にきちゃうことってありますよね!?

  • なぜ、こんな簡単な話が通じないんだろう?
  • なぜ、こんなトンチンカンなことを言ってくるんだろう?
  • 決して高いレベルを要求しているわけではないのに、何故こんなことができないんだろう?

 今回は、このような認識齟齬が起こってしまう根本原因と、その対策について考えてみましょう。

※当記事は「仕事」を例に話を展開しますが、子育てや友達付き合い、家族間の会話を始めとする「人間関係全般」にも同様のことが言えると思うので、自分の立場に応じて読み替えていただければと思います!

 

大前提としての、コンディション作りの話

 人は、「イライラした視野の狭い状態」に陥ると正常にものが判断できなくなります。
 最適な判断を下せる状態を維持するため、日頃からコンディションを整えておく必要がありますよね。

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 しかし、一個人がどんなに自己管理を徹底していたとしても、仕事量には波があるため繁忙期にタスクが集中してしまうこともあるわけです。結果、連日遅くまで残業することになります。

 普段なら、難なく正常に判断できるようなことでも、睡眠が不足し仕事が立て込むと、ストレスで「イライラモード」に入りやすくなり、物事を判断する際に客観性が失われるわけです。

 この前提を基に、次節以降で、この「イライラモード」に入ってしまった場合に陥りがちな状況を考えていきたいと思います。

 

自分が「相手に求めている水準」は本当に妥当なの?

 同僚、部下、チームメンバー、もっと言えば上司が思うように動いてくれない……。コレ、よくある悩みですよね。相手は人間ですから、何の問題もなく思うように動いてくれることの方がまれなのですが、人はどうしてもそれを期待してしまいます。にんげんだもの。

 その中でも最も顕著なのが、部下や後輩に仕事を依頼した際に「何で、これができないの?何度も言ってるよね?」「何で話が通じないの?」と反射的に反応してしまうケースではないでしょうか。

 この問題が発生する原因はケースバイケースではありますが、主な要因の一つに、自分の中で「相手に求める水準・レベルの設定」がうまく行えていないことが挙げられます。

 なぜこのようなことが起こるのでしょうか?原因と対策について考えてみましょう。

 

人は自分に余裕がないと、相手に「自分と同じ水準」を求めてしまう

 普段は、相手が保有するバックグラウンド、つまり今までの経歴や知識量を推し測りながら会話することができても、自分に余裕がなくなったとたん、無意識のうちに、「相手のレベル=自分と同じレベル」としてモノを考えてしまうことがあります。

 なぜなら相手に合わせる必要がなければ、人は、その方が遥かに楽だからです。自分に大きな負荷がかかった際に、易きに流れてしまうのは、人としての運命(S-A-D-A-M-E)とも言えましょう。

 特に相手が新人・若手であればなおさら注意が必要ですよね。初めからデキる人などいないのですから。(たまにモンスターがいますが、それは一旦置いておいて、と……)

 え?自分は相手のスキルを常にシッカリ考慮しているから問題ないって?

 もちろん、誰もが「自分は大丈夫だ!」と思っているものだと思います。しかし実際問題、あなたは相手のスキルをどこまで理解できているのでしょうか?

 ここで、僕が過去にハマった勘違いを紹介しようと思います。

「経験年数とポジション」の近さが招いた誤解

 昔、ある上流工程のプロジェクトで非常にコミュニケーションが取り辛いメンバーがいました。僕の意図が完全に伝わるまで、必要以上のやりとりが毎回必ず発生していたのです。

 僕と他メンバーとの間ではそのようなことがなかったので、自分の問題なのか?相手の問題なのか?とモヤモヤしていたのですが、ある時期から、技術的な話になると相手の反応が鈍くなる傾向にある、ということが徐々に見えてきました。

 彼は年齢・ポジション共に僕と似たようなものだったので、下流工程(技術寄りの工程)に関する知識もそれなりに持っているはずだ、という思い込みに基づいて、僕は彼と話をしていたのですが、実は彼は、上流専門のSE(企画寄りのメンバー)だったのでした。

 相手に対する期待値(要求する水準)が、相手の力量とずれていたため、うまく意思疎通が図れていなかったわけです。誤解の責任は僕にあるのですが、そこには、バックグラウンドの差から生まれたすれ違いが、少なからずあったわけです。

 自分にとっての常識が相手の非常識であることが多々あります。その逆もまた然りで、相手にとっての常識が僕にとっての未知の領域だということも往々にしてあるわけですね。

 「この程度の話は、相手は当然わかっているはずだ!」という大いなる勘違いは普通に起こり得る身近な問題だ、という話でした。

 次に、具体的にどう対応すれば適切な要求水準を設定できるのか、考えてみましょう。

 

1.余裕がないときこそ、一歩引いて相手と向き合え!

 自分に余裕がないときこそ、客観性を保つため、熱くならずに一歩引くアクションが必要になります。相手と向き合ったときに、目の前の人間がどのような人なのか?新人?取引先?同僚?一歩引いて再度明確にすることで、相手が何者なのかを再確認することができます。

※状況を客観視(=メタ認知)するテクニック自体については、いずれどこかで記事にしようと思いますが、今回は以下の過去記事を参考情報として張っておきます。ポイントは「記録して見返す」作業にあります。

「先延ばし」しがちな人の、キャパシティが小さい理由と対策。 - プロジェクトマネジメントの話とか

 

2.相手が歩んできた道・バックグラウンドを含めて向き合うため会話を増やし、相手目線で考えろ!

 部下、後輩、同僚、チームメンバー、さらには上司のバックグラウンドを理解するよう、ランチや飲み会、喫煙所(僕は吸いませんが……喫煙所のネットワークはある意味羨ましい!)その他、雑談の場で情報交換を行いましょう。バックグラウンドは人間の価値観と同様、人の数だけ存在します。

 バックグラウンドといっても何も職歴・経歴に限った話ではありません。その人がどのような人なのか?人そのものを知る必要があるのです。休日に何をしているか?など含めプライベートの話や趣味の話をすることで、その人の意外な一面が垣間見られることってよくありますよね!?

 そして相手の「人となり」を理解した上で、相手の目線に立ち、噛み砕いてコミュニケーションを展開する必要があるのです。

 とはいえ、相手のバックグラウンドを把握しただけでは、詳細の得手・不得手を理解するのも限界があると思いますし、チーム内の全メンバーのキャラクターを詳細まで完全に把握するのは困難な場合も多いかと思います。

 やはり、最終的には実際のコミュニケーションのやり取りの中で、相手の反応を見ながら、思考回路を推測・把握する必要があるわけです。

 経験年数で何がわかるの?何もわかりません!

 ここで一つ、バックグラウンドを把握する上での「経験年数」という軸について考えたいと思います。

 例えば、あなたが手の空いた部下に、

「このツールを明日までにコーディングして(プログラムして作って)おいてくれないかな」と依頼したとします。

 10年選手のあなたがコーディングしたら1時間で完了するような難易度だとします。

 そして部下は3年選手で一通りのスキルを身につけているとされるプログラマーです。

 あなたは、「自分が3年選手のときであれば、一日もかからなかったであろう」から、十二分な余裕を見積もって「明日まで」という期限で部下に依頼したとします。

 そしてその部下はその日の定時になると、「あと3日ください……」とやってきました。

 話をよく聞いてみると、未経験の技術が多く、必死に調査しながら進めているものの想像以上に難航している、とのこと……。

 この例は、ただ単に部下の見積が甘いだけ、とも考えられますが、実は振る側にも問題があるのです。

 自分が3年選手のときはこのくらいできたから、この人もできるだろう、という予測は一種の甘えとも言えるのです。その経験自体は、何の指標にもなりません。

 なぜなら同じ「3年間」でも、経験した仕事の内容も異なれば、過ごした環境・プロジェクトも異なるからです。増してや、あなたと部下は異なる人間です。

 相手を気遣うために「自分が相手の立場だったらこうする」という考え方をとることがありますが、これはある意味危険なのです。「相手は自分ではない」のだから、単純に立場を置き換えてシミュレーションすることが必ずしも正しいとは限らないわけです。

 本当に必要なのは、その人「個人」がどのような人間なのか?といった、生きた鮮度の高い情報なのです。

 次に、「相手に求める水準」の例として、「プレーヤーとマネージャー」の関係について考えてみましょう。

 

優秀なプレーヤーが必ずしも優秀なマネージャーになれないのは必然?

 よくありがちな「プレーヤーとしては超一流だけどマネージャーとしてはイマイチだね」という話については、枚挙にいとまがありませんが、この問題は主に前述の「要求水準の設定」がうまくいっていないことに起因します。

 さらに言えば、スーパープレーヤーは目線を相手目線として設定することの必要性を頭で理解しながらも、適切にコントロールすることができないのです。

 特に天才肌のタイプの人は、若い頃から自分では「やれて当然」であるが故、「なぜ、相手はそれができないか」を理解することが困難なのです。できない人の気持ちや思考回路が理解できないわけですね。

 これは「持つ者」の宿命です。結果、適切なマネジメントができないわけです。

 このようなすれ違いを感じた際に必要なのは、前述の「相手に求める水準を適切なレベルに設定する」ためにコミュニケーションの質・量を増やすといった地道な関係作り・相互理解以外に、解決策は無いと僕は考えています。

 これは天才と凡人の関係に関わらず、全ての人間関係について言えることですが、「人と人は分かり合えない」という前提から出発したときに、どこまで歩み寄れるか?という話につながります。
※以下の過去記事でも言及しているため、併せて参照ください。

口下手なプログラマと体育会系SEの処世術―7つの習慣【第6の習慣】から考える。 - プロジェクトマネジメントの話とか

 このブログで何度も言い続けていることですが、「人と人とのコミュニケーション」が仕事の成果の9割を決めるのです。これに業種・職種は関係ありません。

 プレーヤーには実務の遂行能力が求められる一方、マネージャーには寛容さが求められるわけですね!

 

子育てや友人関係など、人間関係全般も同じこと!

 冒頭でも述べましたが、今回のテーマは仕事に限った話ではなく、全ての人間関係にも言えることです。目の前の話題について自分の方が経験値が豊富であれば、必ず「当たり前」の基準に差が発生するのです。

 余裕のない状況だからこそ、あえて一歩引いて相手と相手の考え方を冷静に見る。

 理想論に聞こえるかもしれませんが、やはり日頃から意識した場合とそうでない場合では、人間関係に大きな差が生まれるものだと僕は思います。

 

人と人ーー。

誰もが悩む永遠のテーマですが、難しいからこそ、面白いのかもしれませんね!

 


photo by Philip Chapman-Bell

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