プロジェクトマネジメントの話とか

「プロジェクト管理」をはじめ、心理学・ライフハック・仕事の話などを書いています。


なぜ人は相手の話を聴かないのか?―ゼロから学ぶ7つの習慣【第5の習慣】


人の話を聞くことにより、人生の80%は成功する
――デール・カーネギー

 人の話は最後まで聞く(=あえて「聴く」と表記します)ものだ。
 うん、わかってる。わかっちゃいるけど…感情が高ぶると、ついつい相手の言葉をさえぎり言葉を返してしまう僕たち。

 今回は、人の話をなかなか聴けない原因、聴くことの効果、その方法について、7つの習慣「第5の習慣」と併せて考えていこう。

まんがでわかる7つの習慣3 第3の習慣/第4の習慣/第5の習慣

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完訳7つの習慣 25周年記念版

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  • 作者: スティーブン・R・コヴィー,フランクリン・コヴィー・ジャパン
  • 出版社/メーカー: キングベアー出版
  • 発売日: 2014/08/09
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そもそも、人は自分が一番大好き。

 まず、人は自分が大好きである、という大前提を確認しておこう。当然である。常に「オレがオレが」「ワタシがワタシが」である。自分中心に地球は回っているのだ。みんなそうだ。にんげんだもの。

 次に人間は人に話を聴いてもらいたい」という強い欲求を持っている、という原則も確認しておこう。社交的な人に限らず、口下手な君でも、ネットに書き込んだ内容に対して何らかのフィードバックがあれば、嬉しいはずだ。

 これは、もはや万人がもつ人間の本能に近いレベルの欲求だと考えたほうがいい。それほど強力な欲求なんだ。

 以上のことから、会話のキャッチボールにおいて「聞き手に回る」こと自体が、人間が持つ本来の欲求とは相反する、人間にとって「不自然な行為」であると言えるわけだ。つまり、聞き手に回るためには自分の欲求にあらがう必要があるんだ。

 相手の話が面白かったり、相手自身に興味があってもっと話を聴きたい、ということもあるだろうが、基本的には人は話を聴いてもらいたい生き物なんだ。

ほとんどの人は、相手の話を聴くときでも、理解しようとしてきいているわけではない。次に自分が何を話そうか考えながら聞いている。話しているか、話す準備をしているかのどちらかなのである。
(P.119―『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P.343)

 これは本来、人間の脳としては当然の働きなんだよね。放っておくと、人は自分本位の考え方に陥って話したがってしまう。なので、会話する際は「お互いが自分大好きで、二人とも自分の話を聴いてもらいたいと思ってる」という大前提の認識を持つことが重要なんだ。

 なので、ハッキリと「相手優先で話をさせ、相手の立場にたって共感しつつ、相手を理解しよう」という認識を持つことで、お互いが相手の言葉をさえぎってカオス状態になるのを未然に防げるようになるんだ。

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第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される

また、Win-Win(信頼関係があり、お互いが幸せな状態)のためにはまず相手を理解すること。人は「この人は自分の理解者だ」と感じたとき初めて、相手に興味を持ち、その人を理解したいと思うからだ。相手を理解するために必要なのが、共感による傾聴。
(中略)
多くの人は心を開くチャンスさえもらえれば、あとは自分の力で悩みを解決できる。余計な助言は誰も必要ない。ひたすら深く聴けばいい。(P.135)

 第4の習慣:Win-Winについては別途記事にするけれど、お互いが納得できる結末に着地させるためには、信頼関係が必要なんだ。

 傾聴(深く話を聴いてあげる)することで相手が心を開ければ、信頼関係ができてくる、というものだが、これは回数と時間が必要で、一朝一夕にできるようなものではない。

相手を理解することにどんなに長い時間を投資したとしても、必ず大きな成果となって戻ってくる。なぜなら…人が深く理解されていると感じたときに増える信頼口座の残高があれば、解決に向かって進めるようになるからだ。
(P.149―『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P.368)

 コヴィー博士は、その見返りは大きな成果として返ってくると説く。信用残高とは、お金を信用に例えた話で、実績を積み重ねて得た信用がどの程度あるか(ミスをすれば減っていく)ということだ。信用があれば二人三脚で相乗効果が生まれ(=第6の習慣)、1+1が3にも5にもなるわけだ。

ソリが合う人合わない人

 ソリが合う人だと比較的短時間で信頼関係ができるが、ここで問題となるのは、ソリ合わなかった場合だ。誰が悪いというワケでもないのだが、胸糞悪い彼(彼女)に対してはいくら実績を積み重ねても中々信用口座の残高が増えないこともある。

 下手をすると価値観の違いから、自分の気づかないタイミングで残高が減ってしまうようなことも起こり得る。

 このような場合は回数を意識したコミュニケーションをとりたい。飛び込み営業が使う手法で、顔を合わせる回数を増やして信頼を勝ち取るというものがある。1回あたりの時間よりは、回数を積み重ねることが重要だ。

 ただ、これはあくまでも対策の一例であり、結局のところ「あなたの人格」で全てが決まってしまう。近年発売された7つの習慣(完訳版)の副題に「人格主義の回復」がつけられているのは、多分その原理原則を強調したかったからなんだね。

まず相手を理解する努力なら、いつでもできる。これならば、あなたの力でどうにかできる。自分の影響の輪にエネルギーを注いでいれば、だんだんと他者を深く理解できるようになる。

相手を本気で理解しようと思って聴くから、あなた自身も相手から影響を受ける。しかし、自分も心を開いて他者から影響を受けるからこそ、他者に影響を与えることもできるのである。こうしてあなたの影響の輪は広がり、やがて関心の輪の中にあるさまざまなことにまで影響を及ぼすようになっていく。
(P.150、154―『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』P.375)

前回説明したインサイド・アウトの考え方だが、自分にできること(傾聴で相手を理解する)に集中することで、相手との信頼関係が構築された結果、第6の習慣「相乗効果」が生まれるという。

また、傾聴する際には本気で聴かないと相手には見透かされてしまう。逆に言えば本気で聴けば相手に伝わるんだ。伝わることで相手が変わって行く。本気になれば自分が変わる。自分が変われば相手も変わる。もはや松岡修造のノリである。

ただ、自分も本気で聴くので相手の発言に影響を受けることになる。影響を受けたときに、確固たる自分が確立されていれば(第1~3の習慣)、おかしな方向に流されることもない。

会話には2つのモードが存在する

心を開き始めた人の反応には2つのパターンがあり、両者を見極めながら聞き方を変えることが重要だ。1つは感情的な反応で、気持ちを知ってほしいときの話し方。(中略)共感しながら聴くのがいい。

もう一つは論理的な反応で、自分の考えが論理的に正しいか確認したいときの話し方。(中略)こんなときは、意見を少し述べても構わない。(P.156)

傾聴するためには、相手の言葉の裏にある揺れ動く感情、表情しぐさを注意深く観察し、どちらのモードなのかを見極める必要がある。そして話を深く理解することで、相手のパラダイム(前回記事参照)の理解につながり、信頼関係の構築、Win-Winの実現へと発展していくんだ。

「コミュニケーション」が仕事の成果の9割を決める。これに職種・業種は関係ない。

当ブログで何度も繰り返してきた言葉だが、仕事に限らずプライベートも同じかもしれないね。


信頼関係の構築――。

非常に骨の折れる高度な作業だが、成功すれば
人生がより実り豊かなものとなることは確かだろう。

さあ、今夜はソリの合わないあの人と一杯飲みに行こうか!

 

 

まんがでわかる 7つの習慣

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7つの習慣 演習ノート―ビジネス、プライベート、家庭で、効果的な人生を送るための 成功への原則がよくわかる!

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photo by Philip Chapman-Bell

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