これがあれば、日曜夜のサザエさんが終わっても怖くない。
さあ、月曜の朝からスッキリして爆速でいこうか!
今回紹介するのは、モヤモヤの解消、アイディア出し、頭の整理・高速回転を促す、シンプルで強力な手法『ゼロ秒思考』だ。
筆者は、外資系コンサルティングファーム「マッキンゼー」に14年間在籍していた赤羽雄二氏。「生き馬の目を抜く“UP or OUT”の世界に14年間?そんなTOPエリートの話なんて、僕ら凡人に役立つはずがないでしょ!」なとど思ったら、それは早合点だ。
このメソッドは赤羽氏によって約1000人に実験して検証された、おり紙つきの手法なんだ。
さあ、「百聞は一見にしかず」いや、「百見は一動にしかず」だ。
(見るより経験したほうが早い!)
実際に手を動かして「スッキリ爆速」の世界を体感しよう!
※今回の記事は、下記記事の具体的な解決策となります。
自己啓発本・ライフハック記事を読み漁っても、なぜ行動できないのか? - プロジェクトマネジメントの話とか
※もう一つの解決策「脳内クリーンアップ」はこちらを参考に。
併用することで効果も上がるかもしれませんね。
瞑想関連の記事
【瞑想】一流企業が続々導入!脳の究極メンテナンス術を分析・実践しよう。 - プロジェクトマネジメントの話とか
『ゼロ秒思考』で得られる具体的な効果
赤羽氏の説明をざっくり噛み砕くと、
- 抱えているタスク、悩み、不安、モヤモヤ等が見える化されるため、頭の中での堂々巡りがなくなりスッキリする
- 一人ブレスト(ブレーンストーミング)が異様にはかどるので、企画力が飛躍的にUP
- 言葉への感覚が研ぎ澄まされるため、コミュニケーション能力が向上
- 即断・即決する習慣も身についていくので仕事の生産性が上がる
- 自分が普段意識していない「潜在意識、自動思考」が浮かび上がってくるので、
気づきを得られると共に思考のチェック(メタ認知*1)に役立つ
ちなみに、僕は始めて10枚に満たない段階で客観的な思考にもとづく解決策に出会えた。たまたまなのかもしれないけど、自分の中から出てきた言葉なのに一歩引いた視点で導き出された解決策に驚いたんだ。
それでも書かないと気づかない気づきがいくつもある。発見がある。メモを書いた方から、「こういうことを書いてみるなんて考えてもみなかった、こんなことを考えていたんだ」という驚きの言葉もよくいただく。(P.68)
目をつぶろうとしてきたこと、考えないようにしてきたこと、でも実際は非常に気になっていたことがはっきり見えてくる。(P.69)
正に自分を客観視するための、「自動思考・潜在意識」のあぶり出しである。1分間という制約が「自分の思考」をスキップして、普段コントロールできない「自動思考・潜在意識」へのアクセスを容易にしているのかもしれない。
経験を積んでいくと、他にもいろいろ効果がありそうだね。
「高速メモ」でスッキリ爆速を目指せ!
具体的なやり方について、概要を説明しよう。
※本書では「メモ」とありますが、当記事では単なるメモと区別するため「高速メモ」とします。
- A4の紙1枚
- 1枚につき1テーマ
- 左上にタイトル
- 右上に日付
- 本文として4~6行
- 各20~30字
- 1日10枚
実にシンプルだ。ただし条件がある。
これを「1分以内」に書くんだ。やればわかるが、このボリュームで60secは想像以上に厳しい。でも書けば書くほどスピードに慣れていくんだ。
このメソッドの素晴らしい点はこの「1分間」という非常にシビアな制限時間を設けている点だと思う。究極の「締め切り効果」を狙っているんだよね。
- 小学生の頃、夏休み中ひたすら遊びほうけ、8/31に一気に宿題を片付ける勢い
- 定期試験前日まで何もせず、前夜に尻に火がついて、普段ではありえない集中力を発揮した状態
を思い出してもらいたい。
余談だが、私が小学生の頃は、毎年夏休み明けの9/1に友達のノートを爆速で写していたものだ。話がよくわからなくなったが、要はあのスピード感だ!
さらに余分な制約を解除(後述)することで、「適度にリラックスした緊張状態」を実現し、脳は爆速モードへ突入する。
締め切り効果の理屈は、下記記事の
「3.先に帰宅時刻を決めてしまおう」「4.先に休暇を決めよう」と同じだ。
凡人のあなたが爆速で仕事をこなすための6つのポイント。 - プロジェクトマネジメントの話とか
頭で何が起こっているのか?
では次に、頭の中で具体的に何が起きているのかを考えてみよう。ただのノウハウとして利用するだけなく理屈まで深く理解しておくことで、効果は増大する。
◆スッキリの正体
「思考を紙に書き出す」という行為は、精神医学・心理学の観点からも、精神衛生上非常に良い影響を及ぼすことが知られているんだ。つまり「高速メモ」は理にかなった方式なんだよ。さらに1分間という制限を設けることによって、脳内の言葉・モヤモヤの吐き出しを促す効果が促進されているんだよね。
よく「人に話を聞いてもらってスッキリした!」と言うことがあるけど、その現象と似たことが起きているんだろうね。会話との違いは、いつでもどこでも気兼ねなく吐き出せて、かつ可視化される点だ。
※思考を紙に吐き出す作業(=ジャーナリング)についてですが、テキサス大学のペンベイカー教授の研究によってストレスが緩和されるという報告があり、また、Google社の研修にも「書く瞑想」として取り入れられている、非常に実績のある手法なんだ。紙とペンさえあれば場所・時間を選ばず、かつ即効性があるので、ぜひオススメします!
◆アウトプットとインプットの循環
頭の中だけでいろいろ考えていても、堂々巡りしていて進展していないことがよくあるけど、この手法により
- 目に見えない頭に浮かぶ言葉を書き出す
- 見える化され、それが再び脳へインプットされる
- 刺激されることで、新たなアイディアが生まれる
といった好循環により、堂々めぐりがなくなるんだ。
要はこれって普段のミーティングにも言えることで、次々発言された言葉はその場でシャボン玉のように消えてしまうので、それを「見える化」することで、次の発言につなげるための「インプットの材料」として機能するんだよね。ホワイトボードをちゃんと使おう。
◆脳が自由に遊んでいる状態
一切の制約を排し、ただただ思い浮かんだことを高速で書きなぐる。無駄にキッチリ整理した形で記録しようとするから、脳は気を使ってスピードが落ちてしてしまう。大切なのは、脳を自由に遊ばせることなんだ。
人名・不愉快な出来事も、すべて包み隠さず書くことで効果は倍増する。ただし、これをやると書き終わった用紙の保管に影響が出てくるんだ。誰かに見られることを恐れてオブラートに包むくらいなら、いっそのこと書いた高速メモは捨ててしまっても良いかもしれない。
もちろん、そこで発見した新しい考え方は別のメモして残す必要があるけれども。大切なのは、脳に余分なブレーキ・負担をかけないよう、制約を外してあげることなんだ。
赤羽氏は保管方法・見返し方についても言及しているため、物理的な折り合いが付く範囲で試してみよう。
◆脳内クリーニング「瞑想」との共通点
冒頭で述べた「瞑想について」も、脳内クリーニングという意味では同じようなことだよね。やっていることは全く別だけれど、並行して実践することで大きな効果が得られるかもしれない。
※毎回しつこいようですが、瞑想は宗教とは無関係です。
たまに立ち止まって熟考するための「熟考作業」
ゼロ秒思考では、A4の紙1枚1分の制約の中で次々と「高速メモ」をとっていくが、この方法では、「アウトプットの繋がり」を俯瞰するためにはA4の紙をカルタのように並べる必要があるので、全体を見渡すには限界があり少し難しいと、個人的に感じたんだ。
なので、「高速メモ」でアプトプットされた数々の思考を、縦横無尽に線でつないでマインドマップ化したり、そこに追加で思いついた言葉を足していき、熟考する作業も並行するといいかもしれない。
思いついた言葉を書きなぐり、それを線で結んで整理したりすることは、僕が昔から気が向いたときにやっていた手法なんだ。
ただ、あくまでも一分間の制限を設けた「高速メモ」を実施する際は、本書のルールを守って行おう。熟考作業を実施する場合は、それとは別枠の時間を確保し、あくまでも別作業として取り組むんだ。理由は後述する。
また、本書では筆記用具に筆圧ゼロのため高速で書ける「PILOT VCORN 直液式水性ボールペン」が推奨されている。「高速メモ」はスピードが命なので、シャーペンではなく、最悪でもボールペンを使用したい。
熟考作業の方については、個人的には逆にシャーペンを勧めたい。個人的な感覚かもしれないが、ボールペンよりもシャープペンシルで書いた方が「書いた」という気持ちよさが脳にダイレクトに伝わるんだ。
高速で思考する時間と、たまに立ち止まって考える時間のハイブリッドで、カイゼンのサイクルは深く加速していく。
「守・離・破」は全ての原則
赤羽氏も本書の中で言及しているけど、長年に渡って研究された手法に対し、経験値ゼロの素人が勝手にアレンジしてもよい結果はあまり得られないと思う。
アレンジするのは「ある程度自分のものになってから」でいい。考えることを止めろ、ということじゃないよ。初めはバ○カになってトライし、違和感を感じた部分については記録を残しておこう。自分でアレンジするのは、しばらくやってみてどうしても合わないと判断してからでも遅くないだろう。
このメソッドに限らず、上司・師匠・メンターに何かをアドバイスされた場合も同じだよね。そもそも自分が理解できない次元の話なのだから、経験して検証しないと「アドバイスを理解すること自体」が難しいわけで。
まあ、僕は幸いにもあまり経験ないけど、奇人・変人が上につくと、アドバイスが間違っていることも多々あるので…世の中単純じゃないケド、謙虚な人ほど強いと僕は思う。
やってみて感じたこと。発想はスピードの中から生まれるのか?
このゼロ秒思考を実践する中で実感した一番の効果は、高速で手と頭を動かすと新しいアイディが閃きやすい、ということ。今まで思いつかなかったことを次々と思いついたりするもんだから驚くことが本当に多い。
一般的に、ひらめき・アイディアは対象にじっくりと向き合い熟考することで生まれるイメージがあるかもしれないが、実は逆ではないか?と僕は考えている。頭が高速回転することで、脳内の膨大な情報が結びつきやすくなり、新たな発想が生まれるのではないか?と。
僕は専門家ではないので、脳科学の観点でこの考えが正しいかは不明だが、ゼロ秒思考を実践していると、そんな気がしてならない。少なくとも経験的にはそれが正しいと僕は考えている。
さあ、くすぶっている暇はない。
スッキリ爆速で仕事とプライベートを充実させよう!
*1:メタ認知に関する記事はこちらを参照のこと。
http://www.wiz7.jp/search?q=%E3%83%A1%E3%82%BF%E8%AA%8D%E7%9F%A5